OJTとはOn the Job Trainingの略で職場内の教育を指し、OFF-JTとは職場を離れて行う人材教育のことを指します。
2022年度の経済財政白書は、リスキリング(学び直し)の効果を検証し、大学など職場外での訓練であるOFF-JTや自己啓発によって年収が約7%増えるとの分析を示しています。日本の社会人教育が柔軟性に欠け、労働市場のニーズを満たしていないとしています。
同じ企業で働く人の年収の推移を自己啓発やOFF-JTの有無で比べてみると、OFF-JTの実施者は1年目から年収が増え、3年目は何もしていない場合より5.9%多くなっています。自己啓発も組み合わせていると6.7%とさらに伸びが大きくなっています。
日本企業の取り組みは遅れており、人材育成は伝統的に仕事を通じて経験を積ませる職場内訓練であるOJTが中心でした。OFF-JTへの支出は横ばいで、特に規模の小さい企業ほど従業員に十分な機会を提供できていません。勤務先の費用負担がある学習への参加率は27%であり、OECD加盟国平均の34%を下回っています。日本の社会人学習は、柔軟性と市場ニーズとの整合性のスコアが低くなっています。
(2022年8月5日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)