人口問題を考える―Ⅱ

教育への公的支援
各国・地域を悩ます課題に教育費があります。根強い学歴志向などを背景に子どもにかける教育の費用が膨らむためです。出産をためらう夫婦が増え結果として出生率を押し下げる要因にもなっています。女性の出産や仕事との両立支援策に加え、教育費への手厚いサポートの重要度が増しています。
英HSBCの報告によると、小学校から大学卒業までにかかる平均費用は、香港が13万2,000ドル(約1,800万円)で最も高くなっています。1人あたり国内GDP比では290%に達しており、極めて低い出生率1.05(2019年時点)の要因にもなっています。シンガポールでも、教育コストはGDP比で120%という水準で、出生率も1.14と低くなっています。
公的支援の教育費への積み増しは打開策の一つです。OECDによれば、フランスは2018年、GDP比で5.2%相当の教育関連支出を予算に盛っています。ノルウェーや英米は、GDP比で6%を超す拠出しています。一方、日本の教育関連支出は約4%で先進国では低位に沈んだままです。

(2022年7月29日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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