特別養子縁組の成立件数の推移

特別養子縁組は、貧困や虐待などの事情で、生みの親が育てられない子と、子を育てたい夫婦を結ぶ制度です。裁判所の審判を経て成立します。民法改正で1988年に導入されました。特別養子縁組は、子どもの福祉のために創設されました。普通養子縁組が戸籍に養子と書かれ、生みの親の名前も明記される一方、特別養子縁組は、長男、長女など育ての親の実子として記載され、生みの親との法的な親子関係は終了します。生みの親が育てられない子どもを育てる仕組みには、里親制度もあります。自治体から委託を受けた里親が原則18歳まで預かりますが、子どもとの間に法律上の親子関係はありません。
親と暮らせない子どもは、現在4万2,000人に上っています。その大半は児童養護施設や乳児院にいます。国は2017年に子どもは家庭的な環境で育つことが望ましいとして、特別養子縁組や里親の制度をさらに活用することを決め、施設から家庭へとする児童福祉の基本方針を打ち出しました。2019年には、養子となる子どもの年齢の上限を原則6歳未満から、15歳未満に引き上げる改正民法が成立しました。
特別養子縁組の成立件数は、2020年度は693件です。10年前の倍となっていますが、社会に十分周知されていません。国は数年以内に1,000件を目標としています。

(2022年8月15日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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