文化芸術大賞の男女格差

創作の場のジェンダー平等を目指す表現の現場調査団は、美術や音楽、漫画など文化芸術の9分野の各賞やコンペなどの審査員と大賞受賞者のジェンダー比を過去10年間調べています。それによれば、審査員の77%、大賞受賞者の66%を男性が占めています。表現者の未来を左右する登竜門などで、男性が選び、選ばれやすいといういびつな構造が鮮明になっています。
美術と演劇、映画、文芸の4分野において格差が際立ったのが、文芸の評論領域です。審査員の95%、大賞受賞者の76%が男性で、新潮社主催の小林秀雄賞はいずれも100%が男性です。建築は審査員の86%、大賞受賞者の82%が男性です。審査員の多様性が担保されず、公正性が疑われれば、未来の才能があっても、ジェンダーを理由に文化芸術の才が埋もれてしまう表現が出てくるものと思われます。

(2022年8月25日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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