脱炭素社会の実現に向け、日常生活でCO2の排出量をどれだけ削減できるかを数値で可視化する取り組みが広がっています。国内の温室効果ガス排出量のうち、食や住居、移動などの家計関連が6割を占めています。排出量を2050年に実質ゼロにするとの政府目標を達成するには、一般市民の行動変容が不可欠です。
政府も見える化に本腰を入れています。環境省は昨年9月、脱炭素につながる個人の行動をゼロカーボンアクション30としてまとめ、排出を減らせるCO2量の目安とともに公表しています。例えば、1世帯のCO2排出量は年間2.88tですが、家庭で使う電気を太陽光などの再生可能エネルギー由来に切り替えると、1人あたり年間1.23 tの削減になります。自家用車をカーシェアリングの利用に置き換えた場合は同213㎏、衣料の購入を4分の1にすると同194㎏の排出を抑えられます。
徒歩や自転車で移動すると、自家用車やバス・鉄道を使う場合よりどれだけCO2排出量を減らせるか算出するスマートフォンアプリもあります。デカポスコアを製品に表示している商品もあります。デカボとは、脱炭素を意味する英語デカーボナイゼーション(Decarbonization)の略です。数値は、製造や流通の過程で排出されるCO2量を、従来の商品やサービスと比べた時の削減率を示しています。食品のカロリー表示のように、商品を選ぶ基準としてデカボスコアの活用に期待が込められています。
(2022年8月29日 読売新聞)
(吉村 やすのり)