米アマゾン・ドット・コムが、日本で処方薬販売への参入を検討しています。国内で電子処方箋の運用が始まる2023年に本格的なサービス開始をめざしています。患者はオンライン診療や医療機関での対面診療を受けた後、電子処方箋を発行してもらい、アマゾンのサイト上で薬局に申し込みます。薬局は電子処方箋をもとに薬を調剤し、オンラインで服薬指導します。その後、アマゾンの配送網を使って薬局から薬を集荷し、患者宅や宅配ロッカーに届けるというものです。
医療機関や薬局まで足を運び、それぞれで順番を待つ必要がなくなるため、持病の薬を定期的に受け取る患者らにとってはメリットとなります。処方薬は公定価格のため、送料以外の患者負担は大きく変わりません。自宅との近さなどをもとに、アマゾン側で患者のニーズに合わせた薬局を紹介するとされています。
参加する中小薬局は業務のデジタル化を進めることができ、新たな顧客を見つけるビジネス機会が得られます。ネット販売のためには、さらなるオンライン診療の受け皿拡大が欠かせません。現状は多くの医療機関が消極的で、患者の利用も限定的です。
(2022年9月6日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)