2023年、住宅総数が世帯数に対し、約1,000万戸も余る時代が到来します。かつての住宅不足の解消を目指す政策が、人口減少社会でも維持されてきたことで、家余りがさらに深刻になります。
総務省の調査によれば、日本の住宅総数は2018年時点で約6,241万戸で、2023年に最大6,546万戸へ増えると見込まれています。一方、国立社会保障・人口問題研究所の発表によれば、2023年は日本の世帯数が5,419万とピークを迎え、減少が始まる節目とされ、住宅が世帯数より1,000万戸余ってしまいます。
2018年時点で居住世帯がある住宅は約5,360万戸あります。うち約700万戸は耐震性が不足し、新耐震基準の家でも約3,450万戸は省エネルギー基準を満たしていません。基本的性能が劣る物件は敬遠され、国内の住宅市場で既存住宅のシェアは約14%と、80~90%の米英と大差がみられます。既存住宅が低性能・不人気のままなら、空き家の増加に拍車がかかります。
国を挙げて住宅リストに取り組まなければ、余剰住宅は空き家のまま朽ちていきます。
(2022年9月4日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)