調剤薬局のビジネスモデルの見直し

わが国の調剤薬局は、コンビニエンスストアを上回る6万店を超え、飽和感が指摘されています。米アマゾン・ドット・コムが日本でオンライン薬局に乗り出すことで、競争環境が一変する可能性があります。オンラインで薬剤師から服薬指導を受け、外出せずに処方薬を受け取る人が増えれば、病院前などの門前に薬局を構える伝統的なビジネスモデルが崩れてしまいます。調剤薬局の2021年度の倒産が急増し、淘汰も進んでいます。
調剤薬局は、従来病院前に店舗を構えることで、通院する患者からの処方箋を受けていました。一方でオンライン薬局は、店舗網や立地に関係なく、ネット上で患者との接点を容易につくることができます。投資余力のない中小チェーンでも、アマゾンのプラットフォームを利用することで、オンライン服薬指導から処方薬の配送までを提供できるようになります。店舗網を強みとする大手の薬局チェーンにとっては脅威となります。
アマゾンが自前の会員基盤や物流インフラを利用すれば、オンライン薬局サービスで太刀打ちできなくなります。アマゾン参入という黒船は、大手や中小を問わず、従来のビジネスモデルを見直す契機となります。

(2022年9月6日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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