エイズはHIVに感染することで発症する疾患で、1981年にアメリカで初めて報告されました。HIVに感染すると、数週間以内に風邪に似た症状が出ることがありますが、その後数年間症状のない状態が続き、徐々に免疫力が低下していきます。
2021年のHIV感染者とエイズ患者を合わせた新規報告数は1,057人で、5年連続で減少しています。感染経路は同性間の性的接触が66%、異性間の性的接触が14%でした。新型コロナウイルスの影響で保健所や自治体が行うHIVの検査数は大きく減少しています。2019年の約14万件から、2021年は約5万8千件になり、過去20年で最少になっています。
2018年には、U=Uジャパンプロジェクトが開始され、HIV陽性者の人権に関する啓発に取り組んでいます。U=Uとは、治療によって血中のウイルス量が検査で見つからないレベルを一定期間維持することで(検出限界値未満=Undetectable)、コンドームなしで性行為をしても相手に感染させる可能性が一切ない(Untransmittable)状態のことです。日本では、陽性と分かっている人の多くが、U=Uを維持しています。
U=Uであれば、異性間、同性間いずれの性行為でも感染しません。ただし、U=Uは陽性者を線引きするための概念ではなく、陽性者本人の感染させるかもという精神負担を取り除き、生活の質を上げるためのメッセージです。
(2022年9月14日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)