日本賃金水準の低迷

建設や介護など人手が必要な業種で、外国人労働者の日本離れが始まっています。円安が外国人労働者の獲得に影を落としています。米ドル換算の賃金は過去10年で4割減り、アジア新興国との差は急速に縮まっています。ドル建てでみた日本の賃金は低下が著しく、今年の円の急落を2020~2021年度の平均賃金に反映すると、2012年度比4割低下しています。
2021年の国内の外国人労働者は、全労働力人口の2.5%に当たる約172万人です。過去10年で約2.5倍に増えています。国籍別では、長くトップだった中国の比率がじわじわ低下し、2020年初めてベトナムが上回りました。ネパールなど後発国も近年伸びています。各国の賃金水準が上がるごとに、日本での就職を望む国は狭まっています。
1人当たり国内総生産(GDP)が、7千ドルを超えると日本への労働力の送り出しが減り、1万ドルを超えると受け入れ国に変わると言われています。4千ドル前後のベトナムが、7千ドルになるのは5年ごとみられていますが、円安が進んだためにこのラインが下がった可能性があります。

(2022年10月9日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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