脳死と判定された人からの臓器提供が可能となった臓器移植法の施行から25年が経過しています。内閣府の2021年度の世論調査によれば、臓器提供をしたい、したくないにかかわらず、自分の意思をカードに記載したり家族に伝えたりしている人は10%に過ぎません。あらかじめ意思を示してもらうための啓発が課題となっています。
脳死での臓器の提供者数は増加傾向にあり、2019年には年間90例を上回りました。それでも移植を受けられる人は限られ、日本臓器移植ネットワークによると、移植までの待機期間は腎臓で約15年、心臓は約3年など長く、待機したまま亡くなる人も多くなっています。
臓器移植に関心があると答えた人は65%と、以前の調査に比べて増加しています。自分が脳死や心停止になった場合に、臓器の提供をしたいと答えたのは39%、したくないと答えたのは24%と、ある程度考えを決めている人は多くなっています。しかし、文書などで意思を示したり、家族や親しい人に伝えたりしている人は10%程度にとどまっています。今後意思表示を考えている人も少なく、家族などと臓器提供について話した経験がある人は、半数に満たない状況です。
(2022年10月17日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)