体調や労働生産性に直結する睡眠は、企業にとっても見過ごせない課題となっています。睡眠を心身の健康につなげるスタートアップの取り組みが相次いでいます。新興勢のスリープテックが健康経営を支えています。
日本で睡眠時間は、削るものとして捉えがちな側面がありました。OECDの2021年の調査によれば、日本人の平均睡眠時間は約7時間20分で、対象33カ国のうち最下位で、首位の南アフリカより2時間近く短くなっています。睡眠時間の減少は、様々な身体の不調をもたらします。
東京大発のACCELStarsは、2023年春に独自のアルゴリズム(計算手法)で眠りの質を評価するサービスを始めます。慶應大学発のテックドクターは、腕時計型端末で取得した睡眠時の心拍数などから精神不調の可能性を予測するサービスを始めます。脳波による睡眠解析を手がけるS’UIMINは、企業向け福利厚生サービスとして提供を始めています。個人が自発的に睡眠状態を検査する動きは鈍く、状況を改善するためには、企業の積極的な取り組みが欠かせません。
(2022年10月19日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)