性交同意年齢の引き上げと公訴時効の延長

刑法では、性的行為に関して自ら判断して対処できる年齢を性交同意年齢と定めています。現行では13歳で、小学生に相当する13歳未満に対する性行為は、同意の有無に関わらず処罰対象となります。先進国では16歳ほどで区切る場合が多く、日本の13歳は低すぎると批判されてきました。法制審議会の試案では同意年齢を16歳に引き上げ、中学生に相当する16歳未満まで保護対象にしています。しかし、これでは15歳同士などの性行為も罪に問われるため、13~15歳の場合は、年の差がプラス5歳以上の者を処罰対象としています。
公訴時効については、強制性交罪・準強制性交罪は10年から15年に、強制わいせつ罪・準強制わいせつ罪は7年から12年に延長します。さらに18歳未満で被害を受けた場合は、18歳になるまでの年月を加算し、時効をさらに遅らせます。性被害を受けたとすぐ認識できなかったり、認識できても訴えられるまでには長い期間が必要だったりする実態を考慮しています。
試案には、子どもの性被害を未然に防ぐグルーミング罪や撮影罪の新設も入っています。わいせつ目的を隠して子どもに近寄るグルーミングは、SNSでやり取りを重ねて偽りの信頼関係を築き、最終的に2人で会うように仕向けるといった行為で、強制性交などの被害に遭う前の対策の必要性が指摘されてきました。撮影罪の新設も盛り込まれました。盗撮行為は、いまは主に都道府県ごとの迷惑防止条例で禁じられています。地域によって対応が異なっていましたが、刑法で規定すれば統一的な運用となります。

(2022年10月25日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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