総務省の調査の調査によれば、コロナ禍前の2019年の女性の就業時間は月平均136時間で、男性の8割弱でした。しかしコロナ下で女性の労働時間が伸びています。子育て女性でテレワークを使う人の労働時間は、2022年5月で1週あたり平均32.9時間で、2020年から8.8時間伸び、使わない人より4時間ほど長くなっています。通勤時間がなくなる分を自宅で仕事にあてる人が多くなっています。
男性との差も縮まっています。職種や業種など条件の違いを調整して分析すると、コロナ初期の2020年には差が4.8時間ありましたが、直近の1年間は3.6時間と25%減っています。テレワークを使わない場合も縮まっていますが、依然として5.8時間の差があります。差を解消できれば、子どもを持つ女性が昇進しにくいマミートラックや賃金格差の回避が期待できます。
女性のテレワーク利用率は1割程度と男性の約半分にとどまっています。非正規雇用でテレワークを認められなかったり、飲食や福祉の現場で働いていたりと、女性は男性よりテレワークを利用できない環境にいる人が多くなっています。一方で、リモートワークなどが使えるならフルタイムを希望する女性も増えています。特に子育て世代が多い30代女性で伸びが目立っています。コロナ下で休校が相次ぐと、出社を必須とする会社が敬遠され、柔軟に働ける環境を求める声は強くなっています。
(2022年10月23日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)