日立製作所や国立成育医療研究センターなどが、AIを使って医師の画像診断などを補助するサービスを立ち上げます。クラウドで患者のデータをやり取りし、がんなどの診断を支援します。専用の端末がいらないため中小規模の病院でも使いやすくなります。医師不足が問題となる過疎地などでも、都心部に近い医療の質の維持が期待できます。
画像診断やカルテの音声入力など様々な種類のAIソフトをそろえています。医師は自前のパソコンから必要なAIソフトを選択して利用します。病院などは、まず画像などのデータをクラウド上に送ります。AIが病気の可能性を推測し、結果を病院に戻します。その上で医師が病名や病状などについて最終判断します。
AIのソフトを利用すれば、病気の見落としなどを減らせる可能性があります。しかし、ソフトの誤作動などの恐れもあり、診断の最終責任は医師にあります。AIの分析を医師の知見に基づいた診断と連携させる必要があります。医療のデータは流出を防ぐ安全対策も欠かせません。
AI診断など世界のデジタル医療関連の市場規模は、2027年に2021年比約5割増の1,251億ドル(約18兆円)になる見通しです。日本は欧米などに比べて医療のデジタル化が進んでおらず、中小の病院などでもデジタル技術が使える基盤整備が急務となっています。
(2022年10月25日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)