主要企業の大卒内定者の増加

日本経済新聞社の2023年度の採用状況調査によれば、主要企業の2023年春入社の大卒内定者は、2022年春入社数と比べて5.7%増えています。全体の増加は4年ぶりです。新型コロナウイルス禍からの経済再開や人手不足を受けて、非製造業を中心に採用意欲が高まっています。コロナ禍による採用手控えの反動に加え、自動車をはじめとする需要回復などで採用を増やす動きが広がっています。非製造業は4%増と4年ぶりのプラスです。ホテル・旅行や外食・その他サービスなどが回復しています。
しかし、採用計画に対する内定者の充足率は、90.2%と過去10年で最低となっており、人材の獲得競争は激しさを増しています。充足率とは、企業が採用計画数に対して実際に確保できた人数の割合を指します。日本では、大半の企業が特定の時期に横並びで学生を集中的に選考し、在学中に内定を出す新卒一括採用が一般的です。少子化の加速で新卒採用の売り手優位が強まるなか、一部の人気企業に優秀な学生が集中し、企業間の充足率の格差は拡大する傾向にあります。
企業の採用意欲に人材の供給が追いついていない面もあります。必要な人材を確保するため、多くの企業が新卒一括採用を見直しつつあります。日本と卒業時期が異なる海外の大学の卒業生などを取り込むための通年採用や、就活前の学生をターゲットにした採用直結型のインターンシップも広がりそうです。

 

(2022年10月26日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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