政府は、通園バス内に子どもが置き去りにされる事故を防ぐため、来年4月以降、保育所や幼稚園などが運行する全てのバスに安全装置を義務付けます。来年4月の義務化から1年間の猶予を設けますが、夏に入る前の来年6月までの設置を促しています。設置しなければ、行政指導、業務停止命令の対象となり、従わない場合の罰則も設けます。
安全装置の義務化の対象は、認可外も含めた保育所や幼稚園、認定こども園など全ての園の約4万3,700台です。障害児通所支援や特別支援学校も含まれます。エンジンの停止後に警報音が鳴り、車内後部のボタンを押さなければ音が止まらない仕組みや、センサーが車内で動く子どもを感知して警報を鳴らす方式などが想定されています。
対策では、降車時の点呼も義務付けています。安全管理マニュアルを策定し、重大事故につながりかねないヒヤリ・ハット事例の共有のほか、車内が見えないラッピングやスモークガラスを避けることを盛り込んでいます。乗降車時などの確認項目を記載したチエックシートも作成し、園への配布を始めています。置き去りの根絶には、人の目による確認が最も重要で、装置はそれを補うものです。職員ひとり一人が、命を預かる責任の重さを感じなければなりません。
(2022年10月29日 読売新聞)
(吉村 やすのり)