オミクロン型出現一年

南アフリカの国立感染症研究所などは、2021年11月に変異の数が非常に多い新種の変異ウイルスの感染拡大を報告し、オミクロン型と命名されました。この一年の間にオミクロン型は、免疫をすり抜ける性質によって感染力が強く、爆発的に拡大しました。BQ.1、XBBなど600種類以上の派生型が確認されていますが、共通して免疫をすり抜ける性質が強まる収れん進化が進んでいます。
オミクロン型の感染力はデルタ型よりも格段に強く、欧米など各国で感染が再拡大しました。水際対策を厳しくした日本でも、2022年の年明けから第6波が始まり、いまやコロナの99.9%はオミクロン型に置き変わりました。オミクロン型の感染力の強さは、免疫をすり抜ける免疫逃避の影響が大きく、ウイルスの元々の感染力は、オミクロン型のBA.1で5程度、BA.5で5以上と言われています。新型コロナの従来型の2.5程度や季節性インフルエンザの1.2~1.6程度を大きく上回っています。
感染が拡大したのは、多数の変異を持つオミクロン型は、免疫逃避の性質が強まり、再感染やワクチン接種後のブレークスルー感染が起こりやすくなりました。ワクチンの効果も持続しにくくなっています。世界各地でオミクロン型は進化を続け、新たな派生型が次々と登場しています。しかも共通して免疫逃避の性質が強まる方向で進化しています。同じような変異を獲得した派生型が各地で誕生し、勢力拡大を競っているような状況です。

(2022年11月26日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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