心の病の理解と対応―Ⅳ

10代の若者の死因
10代の若者の死因をみると、第1位が事故による不慮の死であることは世界共通です。しかし、主要7カ国で15~34歳までの若者の死因1位が自殺である国は日本のみです。2017年には、10~39歳までの死因の1位が自殺でした。自殺に至る原因は精神疾患だけではありません。しかし自殺に至る前には様々な形で心身の不調が現れます。

意図的にリストカットや大量服薬など自分の身体を傷つける行為は、抑うつ気分や不安状態との関連が強いとされています。自殺を口にされると、言われた側は非常に戸惑いますが、聞き流さず真剣に耳を傾け、受け止める姿勢を示すことが大切です。またそうした児童生徒に関して1人で抱え込まず、父母ならびに養護教諭、スクールカウンセラーなどと連携することが重要です。
学齢期においては、精神保健領域も教育現場における対応がなされることが多く、親や教師よりも友人に相談したり、インターネットから情報を得たりしがちです。周囲の大人が知らないうちに時間が過ぎていく前に、保健体育教諭、学級担任、養護教諭やスクールカウンセラーに相談を持ちかけやすい環境づくりが必要となります。生徒から相談を受けた際には、まずは話を傾聴し、不安を受け止めることが第一歩です。精神疾患が疑われる時には、養護教諭や学校医を介し地域の精神科専門医への早めの受診が必要となります。

(よぼう医学 2022 AUTUMN)
(吉村 やすのり)

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