医療サービスのDXの必要性

DXがあらゆる分野で進行していますが、クリニックなど街中の医療現場は他業種に比べ遅れています。クリニックの業務である受付、電子カルテ、会計など個別に優秀なシステムはありますが、全てをシームレスにつなぐしくみはありません。この一連の業務がシームレスでないと、連携のために医師やスタッフの手作業(入力やコピー)が発生し、結局それが待ち時間増につながってしまいます。
患者が自宅からオンラインで順番取りし、Web問診に答えると、その結果が電子カルテに反映され、診察までの事務手続き時間を大幅に短縮できます。電子カルテに対応し、電子マネーや交通系ICカードが使用可能なキャッシュレスのセルフレジも連動するので、診察後すぐに会計できることになります。
DXによる救急外来の革新をもたらしたのが、2016年創業のファストドクターです。夜間・休日の救急診療に対応している医療機関は限られ、急病時に医療機関へアクセスが困難な高齢者などにとって、選択肢は救急車しかありません。ファストドクターは、そこに看護師による相談と医師の往診という新たな選択肢を加えています。365日・24時間体制で電話、インターネット、LINEなどで急病やケガの相談を受け付けます。そこでトリアージ(重症度や緊急度に応じた患者の振り分け)の結果に応じて119番との連携、患者への地域の救急病院紹介、さらに通院が難しい患者には提携医療機関の医師の往診など、適切な選択肢を示します
2022年10月現在、首都圏、関西、東海、九州などの都市部を中心に総勢1,510人以上の医師がファストドクターと連携しています。コロナ下では、自宅療養の患者を24時間体制で往診する地域医療の最後の砦として注目を集めました。ファストドクターの根幹を担うのがDXです。受付・予約からカルテ作成、往診する医師のスケジュール管理、医療機材や薬品の在庫管理、決済、保険証の確認まで、一気通貫に管理できるシステムが構築されています。

(2022年11月5日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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