慶應義塾大学のグループは、アルツハイマー病による認知症と、ほかの原因による認知症を見極めるPET検査法を開発しました。脳へのたんぱく質の異常な蓄積を画像化できるPET検査を2種類使います。原因に応じて適切な薬に変えるなど、診療が改善できる可能性が出てきました。
アルツハイマー病は認知症の6割以上を占めています。記憶障害が進行し、理解や判断力が低下していきます。脳にアミロイドβとタウという2種類のたんぱく質が異常に蓄積します。診断を確定させるためには、この2種類がともに異常に蓄積していることを確認する必要があります。
これまでは、脳の萎縮をみるMRI検査などで総合的に診断しています。アルツハイマー病と診断されても、後になって他の病気と分かることもありました。2種類のPET検査により、35%の診断が変更になり、30%で薬の種類や量の変更など治療方針が変わりました。診断が正しくついて、アルツハイマー病の薬を適切に使えるようになるなどのメリットがあります。
(2023年1月25日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)