わが国の研究者の年収

総務省の2021年度科学技術研究調査によれば、大学や公的研究機関などに在籍する研究者は約38万人です。大学のポスドクは、平均年収約300万~400万です。これに対し企業には約53万人のポスドクが所属しています。企業では年収が200万円以上多くなるケースもあり、転職も相次いでいます。
日本は海外と比べても研究者の年収が低い水準にあります。2022年文部科学省の科学技術・学術政策研究所の調査によれば、日本の博士人材の年収は400万円未満が4割に上っています。米国で研究職の雇用財源の一部を担う米国立衛生研究所が2022年に示した給与基準では、ポスドク1年目で年5万4,840ドル(約713万円)となっています。英国のポスドク研究者は同3万ポンド(約483万円)程度が相場です。海外では基礎研究への国の支援が手厚いとされています。
国立研究機関である理化学研究所は、若手研究者の支援策を発表しています。給与の最大2割増や採用枠の新設・拡充が柱で、優秀な人材獲得に乗り出しています。日本の研究力の底上げへ各大学などに対応を促す狙いもあります。国内を代表する研究機関の理研が若手研究者の支援を拡充することで、大学や他の機関への広がりが期待されます。

(2023年1月27日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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