少子化対策としてのN分N乗方式

N分N乗方式は、先進国の中で出生率が高いフランスが導入しています。家族の所得を合算し、家族構成に応じた除数Nで割って、1人当たりの所得を算出します。これに税率をかけた1人当たりの税額をN倍して世帯の税額を得ます。累進課税の所得税では、所得を分割した方が適用する税率は低くなります。子どもの数が多いほどより低い税率が適用され、税額も少なくなります。子どもを多く持つインセンティブになるとされています。
フランスの場合、大人を1、子どもを0.5(第3子以降は1)として世帯の人数を計算します。例えば夫婦と子ども2人の4人家族の場合、世帯所得を3で割った額が課税対象になり、個人の所得に課税する場合より低い税率が適用されます。
個人単位の課税を世帯単位の課税に改めるもので、世帯の所得に応じて適用される税率が平均化されます。世帯全体で同じ所得の場合、片働き世帯や高所得者ほど税軽減の効果が大きくなります。出生数の減少を食い止めるために期待が持てる制度です。

(2023年2月1日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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