40代以降に転職する女性が増えています。総務省の労働力調査によれば、2022年の女性の転職者163万人のうち、45歳以上が占める割合は37.4%で、2017年より5.1ポイント増加しています。
転職の理由としては、仕事にやりがいがないが23.4%と最も多くなっています。2番目に多かった理由は、会社の将来が不安と転職後の仕事に魅力を感じたで20%です。次に人間関係に不満と仕事がハード過ぎるが15.6%で続いています。コロナ禍による仕事の減少や勤め先の業績悪化などで、やむを得ず転職した人もいます。
40代以降での転職で成功だったと回答したのは58.1%、失敗だったと思う人は6.9%で、成功ととらえる人が多くなっています。会社の規模が縮小したり、勤務時間が増えたりしても、仕事への手応えや達成感が、40代以降の転職満足度をアップさせているようです。
一方、転職に失敗したと考える人の理由で最も多かったのは、人間関係で59.1%です。40代の転職が失敗する理由では、①人間関係でつまずく、②働きやすさを求めすぎてやりがいが見いだせなくなる、③給与で選んで想像以上に仕事がハードの3つが多くなっています。
40代以降での転職が増えている背景には、人手不足や女性の管理職比率目標の設定などがあります。管理部門やエンジニア部門で経験を積んだ人、または管理職として働いてきた人のニーズが高いとされています。入社後は即戦力として、すぐにパフォーマンスを発揮しなければと焦ってつまずく人もいます。転職者が早期に組織になじみ、活躍できるよう支援するオンボーディングを重視する企業も増えています。転職者は成果を焦らず、まずは会社の風土や、既存の社員との相互理解を深めることが大切です。
(2023年2月20日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)