世界の主なクオータ制

スペインは、閣僚級ポストや企業の取締役会における比率を、男女どちらも40%以上とするクオータ制の導入を盛り込んだジェンダー平等促進法案を閣議決定しました。社会の半分は女性なのだから、政治・経済における権力の半分も女性が持つべきだと強調しています。
スペインでは、閣僚22人中14人(64%)を女性が占めています。国会議員の女性比率は4割です。法案成立後は男性閣僚を少なくとも1人は増やして、女性の占める割合を引き下げることになります。フランスでは、担当相らを含む内閣の男女同数をほぼ実現していますが、法的な義務ではありません。
候補者のクオータ制は、1994年にベルギーが欧州で初めて導入、法制化しました。フランスは、2000年以降下院選などほぼ全ての選挙で立候補者数が男女同数になるよう義務づけています。EUは、2022年に加盟国に対して上場企業が社外取締役の少なくとも40%を男女のうち少ない方、取締役の33%をいずれかの性別に割り当てる国内法を、2026年までに制定するよう求めています。フランスは、2011年から一定規模以上の企業には取締役会や監査役会の女性比率が4割以上になるよう義務づけています。
男女の格差を是正し、ジェンダー平等を制度面から担保しようとする欧州に比べ、日本の現状は周回遅れと言えます。OECD加盟の主要29カ国を対象に女性の働きやすさを評価したガラスの天井指数で、日本は最下位から2番目の28位です。現在、衆議院、参議院を合わせた国会議員の女性比率は15%程度です。首相と閣僚を合わせた20人のうち女性はたったの2人です。

(2023年3月9日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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