企業と女性の認識の隔たり

日本経済新聞社らの調査によれば、女性社内役員はこの2年で1.3倍に増えましたが、全体に占める割合は5.8%と2年前の調査の7%から低下しています。女性役員(取締役、執行役員、執行役、監査)は、2022年7月1日時点で延べ186人です。2020年の141人から45人(32%)増えています。しかし、執行役員制度を導入する企業が増え、役員の数が増える中で女性のウェートはむしろ低下しています。
女性の役員登用を阻む障害について、企業と女性との間の認識に大きな隔たりがあります。企業側は、家事や育児の負担が女性に偏りがちな社会構造が1位だったのに対し、女性は男性中心の文化や人間関係が1位になっています。制度面では男女平等待遇が整ってきたのに、企業は今なお、外形的な環境整備を問題にしています。女性との意識のギャップを早急に埋めないと、女性登用は進みません。
女性の幹部登用が全体として停滞する一方で、先進的な企業では、女性を人事部門トップに起用し、ダイバーシティ経営を加速しています。性別にかかわらず、豊富な業務経験とグループ経営に関する深い知見を持つ女性をCHRO(最高人事責任者)に起用することで、持続的な企業価値の向上を目指しています。男女格差の実態をよく知る女性をCHROに起用する意義は大きく、女性活躍のロールモデルや女性従業員のキャリア形成の参考にもなります。

(2023年3月20日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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