わが国は、配偶者を異性に限るとはっきり定めた法律はありません。しかし、政府は、民法や戸籍法にある夫婦という言葉が、男である夫と女である妻を意味しているから、同性同士の結婚は戸籍上認められていません。
同性カップルは、所得税の配偶者控除が受けられなったり、パートナーお法定相続人になれなかったりします。子育てをしていても、共同親権を持てません。病院で家族と認められず、パートナーの病状について説明を受けられなかったりすることもあります。配偶者としての在留資格が認められない外国人と日本人のカップルもいます。パートナーシップを証明したり宣誓したりする自治体の制度は広がってきていますが、法的な効力はありません。
国側は、憲法24条にある両性という文言は、男女を表していて同性婚を想定していないとし、異性の婚姻と同じように保障する必要はないとしています。しかし、札幌や東京の地裁判決では、憲法違反や違憲状態という判断も出ています。
2019年の全国調査によれば、同性婚に賛成、やや賛成と答えた人は64.8%で、2015年調査より13.6ポイント増えています。20代では83.8%が賛成ですが、年代が上るにつれて反対の人も増える傾向があり、性別では男性の方が反対が多くなっています。政治の中枢に高齢男性が多いことも、法改正が進まない要因の一つとなっています。
(2023年3月18日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)