大企業健保組合の収支悪化

健康保険組合連合会の2023年度の経常収支は、5,623億円の赤字となります。赤字幅は過去最大で、2,805億円だった2022年度の2倍になっています。医療費の伸びに加えて高齢者医療への拠出が膨らんでおり、現役世代にとって重荷となっています。
赤字を見込む健保組合は、2022年度から130組合増えて1,093組合となっています。その割合は全体の8割近くに達しています。黒字組合は、137組合減って287組合にとどまっています。医療費の支払いに充てる保険給付費は、2022年度比5.5%増えて4兆7,820億円となっています。
健保組合は、従業員と勤務先が毎月払う保険料をもとに、医療費の支払いなどの保険給付、健康診断などの保健事業を担っています。日本の医療保険制度は、現役世代が高齢者医療費の一部を賄う仕組みです。拠出金は、進む高齢化を反映して2022年度比で7.3%増えて3兆7,067億円となっています。なかでも75歳以上の後期高齢者への支援金は、10%程度増えるとされています。
政府は、少子化対策の拡充に充てる財源として社会保険料からの拠出を検討しています。保険料が上乗せになれば、現役世代の一段の負担増につながりかねません。高齢者も含めた幅広い負担のあり方や、社会保障制度全体の見直しによる歳出改革が必要です。

(2023年4月20日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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