コロナ禍での摂食障害の増加

摂食障害は、食べることを拒んだり、たくさん食べて吐いたりするといった食行動の異常です。国内に約22万人の患者がいると推定されています。食べる量を極端に減らす神経性やせ症(拒食症)、過剰に食べ続け、嘔吐や下剤などで体重が増えないようにする神経性過食症、体重や体形への願望はないが不安や強迫で食べられなくなる回避・制限性食物摂取症に主に分けられます。
新型コロナ流行後、摂食障害と診断された子どもや20代は増えています。日本摂食障害学会の調査によれば、神経性やせ症と診断された人は、2019年の400人から2020年は480人、2021年は610人と増加しています。回避・制限性食物摂取症も2019年の70人が、2020年は97人、2021年は112人と増えています。女性が多く、10~20代の増加が目立っています。神経性やせ症では、10代は2019年と比べ2021年に1.8倍、20代も1.6倍に増えています。
摂食障害は命にかかわることもあり、極端な体重減少がある場合は入院治療が必要となることもあります。医師ら専門家のもとで治療を受けることが大切です。治療では、精神的な不安などを和らげる薬物療法や、栄養指導やカウンセリングなどを受けるなどし、体重の回復を図り、以前と同じ生活が送れるようにするのが目標になります。
神経性やせ症では、臨床心理士ら専門職と相談しながら、親が食事を管理する家族療法が有効です。家族が病気のことを理解し、1年ほどかけて段階的に目標を設定し回復を目指します。

(2023年6月14日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。