コロナ禍からの回復途上、人手不足が課題となっています。6月末に発表した5月の有効求人倍率は1.31倍と、前月から0.01ポイント下がりました。都道府県間の差が大きく、最も高かった福井県が1.84倍だった一方、神奈川県は1倍を割りこんでいます。有効求人倍率は求職者1人に対する求人数を表します。全国の有効求人倍率は、新型コロナウイルス禍で一時は1.0倍台に落ち込みました。福井県は厳しい雇用環境のもとでも、おおむね1.5倍以上を保っています。
福井県は、眼鏡や電子部品の生産、繊維業といった製造業が盛んなことが背景にあります。働き手を見ても、求人倍率が高まりやすい構造にあります。女性の就業率が高く、共働き世帯が多いのが特徴です。
神奈川県は、東京都に隣接する交通の要所で、製造業が盛んなうえ観光施設や飲食店なども多いのですが、本社が神奈川県内でも、働き手がより多い東京都で求人を出すことが多くなっています。千葉県や兵庫県の求人倍率が低いのも、近隣に大都市を抱えるためです。
(2023年7月4日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)