帯状疱疹の増加

強い痛みと発疹を伴う帯状疱疹の患者が増加傾向にあります。水痘ウイルスが原因で、疲労やストレスなどによる免疫力低下が発症を引き起こすとされます。高齢者が罹りやすいのですが、若年層の発症もみられ、新型コロナウイルス感染によりリスクが高まるとの研究もみられます。ワクチン接種といった対策や早めの受診が必要です。
2017年の推定患者数は、15年前の2002年と比べると2割多くなっています。コロナ禍の2020年は受診控えが起きたとみられ、患者は1万2,400人とやや減少したものの、全体としては増えつつあります。患者数を年代別にみると、70代が約3,500人で最も多く、80代が約2,800人、60代が約2,000人でした。加齢による免疫力の低下があるとされ、近年の患者の増加は、社会全体の高齢化が一因とみられています。
乳幼児を対象とした定期接種は2014年に始まり、現在10歳前後より幼い子どもはワクチンによる免疫を獲得し、水ぼうそうに罹りにくくなっています。かつての親世代は、感染した子どもとの接触を通じてウイルスにさらされ、再び免疫力が高まるとみられてきました。定期接種が広がり、こうした効果は得にくくなっています。
米国の約200万人のデータを分析した研究では、50歳以上ではコロナ感染者は、感染していない人に比べて帯状疱疹を発症するリスクが15%高いと報告されています。コロナ感染者の体内で、帯状疱疹のウイルスを抑える免疫機能が低下することが原因と考えられています。加齢や病気による免疫力低下のほか、長時間勤務などによる疲労やストレスも発症の原因になるとされています。

(2023年7月1日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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