臓器提供の低迷

日本臓器移植ネットワークなどによれば、2021年の人口100万人あたりの臓器提供者(ドナー)数は日本は0.62人で、1位の米国の41.6人、2位のスペインの40.8人などと比べてはるかに少数です。順位も集計対象の71か国・地域のうち63位に低迷しています。

 

特に腎臓は、移植待機の患者数が1万3,796人と多くなっています。手術までの待機期間は平均約15年に及び、海外での移植を希望する患者が後を絶たない背景になっています。
厚生労働省が4~5月に大学病院など203医療機関を対象に行った調査によれば、海外移植後に国内で通院している患者は、3月末時点で543人いました。渡航先は、米国や中国、東南アジア、中南米など25の国と地域に及び、少なくとも4つの仲介団体が関与しています。
不透明な海外移植は非人道的な臓器売買につながるほか、渡航先の住民の移植機会を奪うため、国際的に非難されています。あっせん業者の活動を行政がチェックできる仕組みの創設や、罰則の強化を急ぐべきです。

(2023年7月1日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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