厚生労働省の国民生活基礎調査によれば、所得水準などに照らして貧困の状態にある18歳未満の割合を示す子どもの相対的貧困率は、2021年に11.5%となり、3年前に比べて2.5ポイント改善しています。しかし、ひとり親世帯でみると44.5%にのぼり、半数近くが困窮にあえぐ状況が続いています。
ひとり親世帯の貧困率は、前回48.3%から3.8ポイント改善したものの、依然として半数近くが貧困状態にある高水準となっています。OECD平均の31.9%を大幅に上回り、43カ国中で貧困率が最も高いブラジルの54.8%や、南アフリカの49.8%などに次いで8番目に高くなっています。
足もとの物価高がコロナ禍に追い打ちをかける形で、子どものいる困窮世帯に深刻な影響を及ぼしています。物価高騰とコロナ禍と、どちらが食事への影響が深刻かを尋ねると、物価高騰の影響の方が深刻との答えが6割を占めています。コロナ禍で導入された特別給付金などの効果で貧困率の低下につながったとしても、時限的な施策でした。継続的な支援がなければ、再び悪化に転じかねない状況です。
(2023年7月5日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)