日本では、オミクロン株に変わった2022年から子どもに感染が広がりました。夏の第7波では患者が急増し、重症になる子どもが増えました。これまでは、季節性インフルエンザなどによって熱性けいれんを起こす子は、生後6カ月~5歳の子が多かったのですが、新型コロナでは小学生など年齢の高い子どもにもみられ、入院することも多く見られました。稀に急性脳症で亡くなる子や後遺症が残る子どももいます。
感染してから数週間後にみられる小児多系統炎症性症候群(MIS―C)の報告が、国内でもまとまりつつあります。MIS―Cは、感染から約2~6週間後に、発熱や下痢、腹痛、目の充血などの症状が出ます。川崎病と症状が似ており、見分けるのが困難です。免疫グロブリン製剤などの治療が試されていますが、確立した治療法はありません。
自治医科大学のグループの調査によれば、6月20日時点で少なくとも99人がMIS―Cと診断されています。米国では9千人超が診断され、79人が死亡しています。日本ではオミクロン株になって報告が増えていると言います。
(2023年7月12日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)