改めてわが国の少子化を考える―Ⅰ

未婚化の増加
日本の少子化の最大の要因は未婚化にあります。国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、第二次ベビーブーム以降、結婚した夫婦が持つ子どもの数は減少傾向にはありますが、1970年代から2.0人前後でほぼ横ばいです。その一方で、未婚者の数は過去40年弱で大幅に増加しており、1980年から2020年で生涯未婚率(50歳時点での未婚割合)は、女性で4.45%から17.81%に、男性ではなんと、2.6%から28.25%にまで増えています。もはや男性は4人に1人以上が〝生涯未婚〟という時代です。夫婦が持つ子どもの数が変わらないのに少子化が止まらない理由は、この未婚化の進行にあるといえます。
異次元の少子化対策はその大半が既に結婚した夫婦を対象としていますが、未婚率の低減を図らなければ、出生率の増加にはつながりません。今後さらに妊娠適齢期の女性の人口が減少していくことを考えれば、この問題は今から5年、10年が勝負であるといえます。日本の少子化問題に残された時間は極めて少ないことを、国民一人ひとりが認識する必要があります。

 

(Wedge August 2023)
(吉村 やすのり)

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