非正規雇用の上昇
労働者に占める非正規雇用の割合は、バブル崩壊前の1990年は20.2%でしたが、不況が訪れる度に雇用の規制緩和が行われた結果、2022年の非正規雇用率は36.9%にまで上昇しています。その割合が高まるにつれ出生数は減少しており、1990年は約122万人でしたが、2022年についに80万人割れとなっています。少子化や未婚化の背景には、将来にわたる経済不安があり、その一因となるのが非正規雇用の拡大です。そもそも雇用の安定がなければ収入は安定せず、子どもを産み育てるうえでの大きなハードルになります。
多くの企業が目先の利益のために非正規雇用を増やしたことが、少子化の大きな原因になっています。少子化の改善には、企業の果たす役割は極めて大きなものがあります。非正規雇用を増やすことでコスト削減をするのではなく、社員が次世代を育むことができてこそ、持続可能な企業経営と言えます。少子化を止めるためにも、本人が望んで非正規雇用を選ぶ以外は、原則正社員で雇用するような法整備も必要となります。
(Wedge August 2023)
(吉村 やすのり)