1990年代に500校余りだった大学は、規制緩和を受けて急増し、現在約800校に上っています。このうち、私大は約620校で、学生数は約210万人と7割を占めています。一方で今春の入学者が定員を下回った私大の割合は、53.3%と5割を超えています。赤字も3割に達しています。
大学の経営が悪化すれば、人材育成機能が衰えます。人材の質と量は国際競争力に直結します。中教審は2018年の答申で、適正な規模にする必要があるとしたものの、5年を経ても撤退や再編は大きく進んでいません。
大学入学者数が2040年に51万人、2050年で49万人と、2022年比で13万人程度減り、現状の入学定員を維持すると2割分が埋まらなくなると推計されています。文部科学省は、経営が困難な私立大学の撤退支援策を拡充するとしています。焦点の一つは、年間3千億円に及ぶ私学助成の配分方法の変更です。現在は学生数などに応じて額が決まっています。自主的に規模を縮小した大学への助成を厚くして、教育の質向上に充ててもらう案などを検討します。
(2023年9月23日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)