いじめ対策の枠組みを定めたいじめ防止対策推進法が施行され、今年で10年となります。国は、いじめを見逃さぬよう全国の学校に積極的な認知を呼びかけたことにより、認知件数は3倍以上に増えています。文部科学省の調査によれば、2013年度は18万5,803件でしたが、2021年度は61万5,351件で過去最多を更新しています。教職員の目が行き届いていることの証しと評価されています。
被害者が心身に深刻な傷を負って重大事態と認定された事案のうち、事前にいじめと認知されていなかったのは4割超に達しています。法がめざす早期発見や早期対応は、いまなお大きな課題となっています。
国は、いじめを限定的にとらえようとする学校や教育委員会の姿勢が認知、対応の遅れを招き、重大事態に発展する事例があるとして、いじめを隠したり軽視したりすることなく、積極的に認知するよう通知などで呼びかけてきています。しかし、近年は教育現場だけに頼らない対策のあり方も模索しています。
(2023年9月27日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)