インフルエンザの感染者が増加しています。例年に比べて流行が早く、4週連続で注意報基準を超えています。新型コロナウイルスの感染対策に伴う免疫力の低下が背景にあると思われています。全国約5,000の定点医療機関に10月30日~11月5日に新たに報告されたインフルエンザの感染者数は、計10万4,359人で、11週連続で前週を上回っています。1医療機関当たりの患者数は21.13人で、自治体の注意報基準となっている10人を超えています。国立感染症研究所は、全国の患者数を約73万人と推計しています。
都道府県別では、37道府県で前週から増加しています。山梨県では1医療機関当たり39.63人と最多で、警報の基準となっている30人を大きく上回っています。埼玉県は34.48人、愛知県が34.62人です。休校や学級閉鎖などになったのは全国で計5,067施設と、前週から7.6%増えています。
感染者がこの時期増えるのは異例です。同じ時期の1医療機関当たりの患者数は2022年が0.06人、新型コロナ前の2019年も0.95人でした。例年は11~12月に流行が始まることが多いのですが、2023年は9月上旬から増加が顕著になっています。新型コロナに対する感染対策の徹底で、前の冬まではインフルエンザの流行が抑えられていましたが、感染者数が少なかったため、免疫を持つ人が少なくなったと思われます。
(2023年11月11日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)