2023年5月現在の通信制高校は、公立78校、私立が210校で計288校あります。2003年に構造改革特区で株式会社による学校開設が認められてから急増しました。生徒数は約26万人と増加傾向にあり、高校生全体の1割弱を占めています。通信制は多様な生徒の受け皿になっています。通信制に在籍する半数の生徒が小中学校で不登校経験があります。
2022年度に不登校の小中学生は、前年度比2割増の29万人と過去最多を更新しています。新型コロナウイルス禍を経て通信制を選ぶケースは増えています。ひとり親家庭の生徒も2割程度を占めています。スポーツや芸能活動などに取り組みながら在籍する生徒もいます。
不登校生らの受け皿として急増する私立通信制高校の新設が厳しくなります。文部科学省がこのほど設置時の認可基準を初めてつくり、都道府県に通知します。通信制や在籍生徒が増える中で不祥事も相次いでいます。就学支援金の不正受給も発覚しています。文部科学省などの調査によれば、教員免許のない人に授業をさせたり、アルバイトを特別活動とみなして単位認定したりする事例が複数校で判明しています。
(2023年11月22日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)