文部科学省の公表した2022年度の学校保健統計調査によれば、裸眼視力が1.0未満の小学生は37.8%(前年比1.0ポイント増)、中学生は61.2%(0.5ポイント増)、高校生は71.5%(0.7ポイント増)で、いずれも過去最多を更新しています。学年が上がるほど悪化する傾向がみられます。教室の最前列に座っても黒板の文字が読みづらいとされる視力0.3未満の小学生は、11.9%です。2005年度調査の5.7%から倍増し、35人学級で4人いる計算になります。
近年の視力低下の要因については、近視の予防につながるとされる屋外での活動が減り、スマホやタブレット端末でのゲームや動画視聴の機会が多くなったことが考えられています。成長期に近くのものを見続けると、角膜から網膜までの眼軸の長さが伸びて近視になりやすくなります。手元で操作する端末は、至近距離で長時間画面を凝視しやすく、近視の子どもが増えた可能性があります。とりわけ寝転がってスマホなどを見ると、顔を近づけがちになるため目の負担が大きくなります。
文部科学省は保護者や児童生徒に向けて、目と端末を30㎝以上離す、30分に1回は画面から目を離す、就寝の1時間前にはデジタル端末の利用を控えるなどの注意を呼びかけています。
(2023年11月29日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)