スイスのビジネススクールIMDの発表の2023年の世界のデジタル競争力ランキングによれば、日本の総合順位は、64の国・地域の中で32位となり、前年の29位から3つ順位を落としています。人材不足や科学技術力の低下などが響き、調査を始めた2017年以降で最低の順位に沈んでいます。
トップ10入りした6位の韓国や9位の台湾には差を広げられ、中国(19位)にも水をあけられています。東アジアではひとり負けの構図が鮮明となっています。日本のすぐ背景には、マレーシア(33位)やカザフスタン(34位)など、アジアの新興国が並んでいます。
総合順位は、知識、技術、将来の準備の3つの要素で決めています。要素別にみると、日本は技術が前年の30位から32位に低下しています。外国人材の受け入れが遅れているほか、技術開発のための資金調達の課題が指摘されています。将来の準備は32位と4つ順位を落としています。ビッグデータやアナリティクス技術の活用などで低迷が目立っています。知識は横ばいの28位ですが、上級管理職の国際経験やデジタルスキルの取得に関して世界最低水準が続いています。
日本は官民を挙げてDXを推進していますが、他国はよりスピード感を持ってデジタル時代に対応しています。デジタル人材の育成や規制改革を推進し、蔓延する悲観論を払拭できなければ後退歯止めがかかりません。
(2023年12月1日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)