患者が紹介状を持たずに大病院を受診した場合に支払う特別料金を引き上げる医療機関が相次いでいます。紹介受診重点医療機関は、かかりつけ医からの紹介状をもとに受診するのが基本となる医療機関です。かかりつけ医と高度な医療を担う大病院の役割分担のために新設され、地域の診療所などで難しい手術や高額な医療設備が必要な外来を担います。一般病床が200床以上の施設で、紹介状がない場合は、原則特別料金がかかります。
特別料金は定額負担と呼ばれ、窓口で支払う通常の医療費とは別に負担し、公的な保険制度も適用されません。国は、大学病院などの大病院に患者が集中し過ぎないよう、2016年度から一部の大病院で徴収を義務化しています。2022年10月から、初診の場合は5千円以上から7千円以上に引き上げられました。 さらにこの7千円以上の特別料金が義務となる対象は、これまで大学病院などの特定機能病院と、一定規模以上の地域医療支援病院でしたが、今年に入って新制度の紹介受診重点医療機関に指定された医療機関にも広がりました。
厚生労働省の資料によれば、大学病院などの特定機能病院は、紹介状なしの外来患者の割合が、この20年で77%から32%に低下しました。新設の紹介受診重点医療機関は、紹介状なしの初診割合が5割前後の医療機関も一定数ある中、7千円以上の特別料金が義務化されました。
(2023年11月28日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)