39歳以下のがんの診療状況を調べた報告書を、国立がん研究センターと国立成育医療研究センターが発表しています。15~39歳のAYA世代(Adolescent and Young Adult=思春期と若年成人)のがん患者数については、女性が7割超を占めています。小児(0~14歳)やAYA世代のがんは、中高年とはがんの種類の傾向や患者が抱える課題が異なります。AYA世代は、妊娠などのライフイベントに応じた体制整備が求められています。
全国のがん診療連携拠点病院などの専門施設860カ所で、2018~2019年にがんと診断された人を対象に調べています。6万2千人分を分析すると、小児がんは男性が54%で、女性よりやや多かったのに対し、AYA世代は女性が77%と男性を上回っています。20歳を過ぎると年齢とともに女性の割合が増加しています。AYA世代の女性では、乳がんと子宮頸がんが多くなっています。
AYA世代のがん患者の治療成績が向上してきたことにより、将来の妊孕性温存が重要視されるようになってきています。がんの治療を始める前に、特に女性の場合、将来の妊娠に向けた生殖機能の温存についても考えておくべきです。生殖機能温存のための国からの支援は、2021年4月より開始されています。
(2023年11月29日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)