虐待サバイバーの実態調査

未成年期に家庭で児童虐待を受けていた経験があるが、社会的養護につながることのなかった18歳以上に対し、調査が実施されています。10~60代以上の計683人が回答しています。虐待を受けていると気づいた年齢は、20歳以上が50.5%と過半数を占めています。子どものころに虐待されている認識がなかったり、周りの大人に気づかれなかったりして、社会的養護など適切な支援につながれなかった人が多いことが分かります。
精神科などの受診経験は、84.3%の人があると答えています。91.6%の人が、死にたいと思うことがある、過去に死にたいと思ったことがあると答えています。生活に困窮している人も少なくありません。障害年金の受給を経験した人は22.0%、生活保護の受給を経験した人は16.4%でした。
子どもには、暴力を受けない、遊ぶことができるなど守られるべき権利があります。日本では、こうしたことを定めた子どもの権利条約の認知度が低いとされています。子どもの尊厳や権利が理解されている社会をつくることが予防の第一歩です。
誰もが何かしらのトラウマ体験があるということを前提としたトラウマインフォームドケアが必要となります。被害に気づいても、実際に支援や医療につながる人は一握りです。社会で認知・実践されていくことが、ケアを受けることへのハードルを下げることにつながります。

(2023年12月1日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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