離職者を対象とするアルムナイ採用と呼ばれる手法が広がってきています。アルムナイは、英語で卒業生とか同窓生という意味まで、人事分野では定年退職者以外の退職者を示します。アルムナイ採用は、海外企業では一般的な手法です。離職者とのつながりを重視しない傾向が強かった日本でも、2020年頃から広がり始めています。日本的な終身雇用が崩れ、転職者が増えたことが一因とされています。
企業は慢性的な人手不足にも直面しています。厚生労働省によれば、2023年11月の全国の有効求人倍率は1.28倍で、建設業やサービス業などで特に深刻です。スキルと経験を持つ即戦力人材を獲得できるとして、アルムナイ採用を導入する企業が増えています。社外の新しい知識や価値観を取り入れられるといった利点もあります。
リクルートが人事担当約2,700人から集計した2023年調査によれば、ネットワークを構築している企業では、人員の採用が十分できている、ある程度できているとする回答は、計43%に上っています。構築していない企業を13ポイント近く上回っています。採用だけでなく、アルムナイとの情報交換や取引を希望する企業も多くなっています。
アルムナイ採用が定着すれば、働き方の選択肢は広がります。海外に見劣りする人材流動性を高めるきっかけにもなります。
(2024年1月24日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)