共同親権の離婚後の選択

現行法では、父母のうち一方を親権者と定めなければ離婚できません。法制審議会は、離婚後にも父母双方の共同親権を選べるようにする民法改正の要綱案をまとめました。父母の協議で、離婚するかどうかを決めます。離婚に合意すれば、次に父母のうち一方の単独親権にするか、双方の共同親権にするかを話し合いで定めます。
家庭内暴力(DV)などで共同親権の合意を強制をされないよう、離婚と親権の協議を切り離せるようにしています。親権の協議で折り合わなくても離婚だけ成立させ、後から家裁が親権者だけを定めることができます。
家裁が親権者を定める際、子の利益のため、父母と子の関係や父母の関係などを考慮して判断することとし、父母の合意を共同親権の要件とはしていません。しかし、虐待など子の心身に害悪を及ぼす恐れがある場合や、片方の親がもう一方の親からDVを受ける恐れがある場合などには、単独親権としなければならないこととしています。父母の協議で共同親権と定めた後でも、合意に至った過程で暴力などの不適正な点があったと認められれば、子の利益のため、家裁の判断で単独親権に変更可能としています。
厚生労働省の調査によれば、未成年の子がいえる夫婦の離婚件数は年間約10万件、親の離婚を経験した子は約20万人です。法案が成立すれば、単独親権に限ってきた現行制度からの大きな転換となります。

 

(2024年1月31日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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