人生会議の進め方

アドバンス・ケア・プランニング(ACP)では、終末期に望む医療やケアについて、家族や身近な医療・介護関係者と話し合います。欧米で1990年頃に生まれた概念で、日本では、厚生労働省が2018年から人生会議という愛称で普及を進めています。国内死亡者数は、2022年に約156万人で過去最多となりました。2040年には約165万人と推計されています。より多くの人が本人に代わり決断する必要に迫られますが、ACPの認知度は低く、厚生労働省の2022年の調査では9割の人が知りませんでした。

 

厚生労働省によると、終末期には約7割の人が意思決定できなくなるとされています。望ましい医療や介護のあり方を事前に共有しておけば、いざという時に周囲が判断しやすく、本人の意思を尊重できるのはもちろんのこと、身近な人の心理的負担を軽くできる利点もあります。
ACPに取り組むには、まず自分の余命が短いという想定で大切にしたいことが何かを考えます。次に意思を代弁してほしい人は誰かを考え、準備ができたら相手にも伝えて対話を重ねます。年齢や健康状態によっては、医師も交えて助言を得ます。しかし、考えたくない人にまで意思決定を強いないことが大切です。また希望は時間とともに変わることもあり、折に触れて話し合う必要があります。ACPは、なぜそうしたいかを共有することが重要です。価値観を共有すれば代弁の質を高められます。

(2024年2月10日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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