新車や新築の時点で人気が高い商品は、取得価格からの下落率が低い傾向があります。車は、車種や走行距離、不動産なら立地や間取り、築年数、管理状況といった要素や需要動向によって変動します。購入した商品を中古市場で再び売却する時の価格を、再販価値(リセールバリュー)と呼びます。中古流通が活発な自動車や不動産で用いられてきた概念で、資産価値を反映します。
中古流通大手のコメ兵の調査によれば、若年層ほど再販価値を意識してモノを買う機会が増えています。機会が増えたと思うと答えた比率は、Z世代(18~26歳)の男性が47.5%と最も高くなっています。Z世代女性は35%でした。ミレニアル世代(27~42歳)の男性も37.5%と比較的高率です。中古品の購入に抵抗感が薄れているとの回答は、全世代平均で43.5%でした。Z世代は51.3%に対し、バブル世代(52~57歳)は33.8%にとどまり、世代差があります。
中古市場の活況は新たな消費を生んでいます。メルカリが運営するメルカリ総合研究所の2023年調査で、フリマアプリへの出品理由を世代別にみると、Z世代は、売ったお金で欲しいものを購入するためが最多の62.9%でした。中古品の売却益が買い替えを後押しし、買い物の際も将来売ることを前提に再販価値を意識することになります。こうした変化が、新品と中古双方の価格を押し上げる場面も増えています。
(2024年2月11日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)