地熱発電への関心の高まり

地球内部の熱源を利用する地熱発電への関心が世界的に高まっています。地熱発電は、地下にあるマグマで熱せられた水蒸気や熱水でタービンをまわして発電します。火力発電は石炭や天然ガスを燃やして水蒸気を発生させますが、その代わりに地球内部の熱を使います。温暖化ガスの排出量が極めて少ないうえ、同じ再生可能エネルギーの太陽光や風力とは違って、気象条件に左右されず、安定的に発電できるのが特徴です。
日本は、米国、インドネシアに次ぐ世界3位の地熱資源大国です。資源量は原子力発電所23基分の約2,350万kwと推計されています。技術力も世界トップ級で、地熱発電プラントは東芝グループ、富士電機、三菱重工業の3社が世界シェアの6割を握っています。しかし、地熱発電に使われているのは資源量の僅か2%に過ぎません。広大な土地で掘削できる海外とは違い、国内では生態系や景観への影響を調べ、温泉事業者ら地元の理解を得る必要があります。
地熱発電の導入は長く停滞していましたが、2011年の東日本大震災の電力不足をきっかけに見直されています。2019年に23年ぶりの大開発となった山葵沢地熱発電所が、2024年3月には安比地熱発電所(岩手県八幡平市)が運転を開始しました。政府は、総発電量に占める地熱の割合を2030年までに3倍の1%に引き上げる計画です。現在、経済産業省などが全国の40カ所以上で調査や掘削を支援しています。

(2024年4月1日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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